羽黒・芸術の森 設立趣意書
霊峰月山の麓に広がる美しい田園の中にある、小さな森と白壁の土蔵。鶴岡市羽黒町にある今井繁三郎美術収蔵館は、洋画家故今井繁三郎が生前に自己の画業を収納、展示するため、1990年に建設した個人美術館です。建物は江戸中期に建設された2棟の土蔵を自宅敷地内に移築したもので、展示された絵画の魅力に加え、その佇まいの美しさ、景勝地として名高い玉川寺と開墾の史跡である松ヶ岡の中間に位置するロケーションの良さも相まって、数多くの方からの支持を受け、2002年に今井が亡くなった後も遺族の手で運営が続けられてきました。しかし、2014年秋、惜しまれつつ休館となり、以降は継続的な開館が出来ていない状況にあります。
しかし、今井が生涯をかけて築き上げ、想いが息衝くこの空間は、地域の芸術文化を育む大きな可能性を秘めている全国的にも稀有な存在であり、休館直後から再開に向けた検討を続けて参りました。そしてこの度、親族による運営方法を見直し、新たに「羽黒・芸術の森」として再出発することとなりました。その根幹にあるのは、羽黒の山林を開拓し、郷土に根差し、その風土を背負いながら創作を続け、あえて地方から中央へ発信し続けた今井繁三郎の強い意志です。「芸術、絵画は次の世代のためにある」「子供や若い世代に共有される空間をつくる」という今井の想いを受け継ぎ、さらに皆様に愛される場とするべく、以下の事業を行っていく所存です。
一つ目は「発信」。美術収蔵館を「アートギャラリー」とし、歴史が息づく土蔵造りの空間を最大限生かし、従来行っていた今井作品の常設展示に加えて、絵画・彫刻・書道・音楽・舞踏・写真等、この地域で生み出された様々な芸術作品・芸術活動を発表する場とします。
二つ目は「創造」。世代やジャンルを超えて交流し支援した今井の姿勢を受け継ぎ、アトリエを「工房いずみの」として芸術家のみならず市民や団体へも貸し出し、多様な芸術創作活動の場、そして創作者同士の交流の場とします。
三つ目は「体験」。今井が作り上げた庭を「羽黒の小さな森」として開放し、訪れた方、特に子供達が、気軽に豊かな自然に触れて遊び、屋内外でのワークショップ等で創作の楽しさを知り、里山の魅力とそこから生み出される芸術の素晴らしさを体感できる場とします。
こうした空間を羽黒の地に築き活動を続けていくことが、庄内地域の芸術文化を生み、育て、そして次世代へ引き継ぐことに繋がります。本趣旨をご理解の上、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。
(2015 策定)